西東京市多文化共生センター |
┌----------------------┐ NIMIC通信 No.164(2020年6月号 ) └----------------------┘ ┏┏┏ ━━━━━━━━━━━━━━━ ┏ [8] キーワードを読む 「多文化共生」について理解を深めるために(157) ━━━━━━━━━━━━━━━━━ NIMIC設立の理念のなかで大きなウェートを占める「多文化共生」。この言葉を キーワードに、2006年9月号から多文化共生に関わる本の紹介を始めました。 第157回目の今回は、アフリカの本です。 風をつかまえた少年 ―14歳だったぼくはたったひとりで風力発電をつくった― ウィリアム・カムクワンバ/ブライアン・ミーラー著 田口俊樹訳 文藝春秋 2010年 アフリカの片田舎で、図書館で借りた本を読んで電気のことを学び、ごみ 置き場の廃品から風車発電を作り上げたウィリアム 少年の実話です。 訳者あとがきによると、舞台となったマラウィ共和国はアフリカ南東部の内陸 にあり、タンザニアとモザンビーク、ザンビアに囲まれた南北に細長い小さな 国で、面積は日本の約3分の1、人口は約1300万人(2008年)の農業国で 世界最貧国のひとつです。 話はウィリアム少年の幼い日々の一家の暮らしに始まります。家はトウモ ロコシとたばこを栽培する農家で、両親は教育熱心、ウィリアムは電機や機械 が大好きで科学者になりたいと思っていました。しかし、彼が小学校を終える 2000年の暮れ、異常気象に見舞われます。大雨が降り大洪水を引き起こし、 続く2001年は大旱魃で飢饉となります。国中の人々がやせ細り、餓死者が 出るなか、コレラが流行り始め・・・。何とか生き延びた一家でしたが、中学の 月謝が払えず退学したウィリアムは、図書館の本で独学しゴミ置き場へ通い 始めます。 自力で風力発電を成功させてLED電球をともしたことが新聞に 載り、ウィリアムは未来が開け、7歳年下の生徒に交じって中学校に通い 始めます。それ以降の活躍は本をお読みください。 訳者あとがきにもありますが、マラウィの人々の生活は、どこか昔の日本 の暮らしによく似ていて、とても身近に感じられるのです。アフリカは面白い ですね。バイタリティが半端でない。来世紀はアフリカの世紀だと思います。 この本に日本人は一人も出てきませんが、ウォークマンとパナソニックと いう言葉が出てきました。それがアフリカと日本の現在の間柄かと思うと、 ちょっと寂しいです。 (NIMIC会員 根本百合) |
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