西東京市多文化共生センター |
┌-------------------┐ NIMIC通信 No.79(2012年12月) └-------------------┘ ┏┏┏ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ┏ [11] キーワードを読む 「多文化共生」について理解を深めるために(74) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ NIMIC設立の理念のなかで大きなウェートを占める「多文化共生」。 この言葉をキーワードに、2006年9月号から多文化共生に関わる本の紹介を始めました。 第74回目の今回は、イラクの難民キャンプからオランダへ移民することになったクルド人一家の話です。 『はばたけ!ザーラ ― 難民キャンプに生きて ―』 コリーネ・ナラニィ作 トム・スコーンオーヘ絵 野坂悦子訳 鈴木出版 2005年 \1,400 ザーラの家族はクルド人、10年前ホメイニ師の宗教革命の後イランの家を焼かれて、イラクの難民キャンプに逃げてきました。両親と長女のザーラ(10歳)、二人の妹、弟の6人家族です。弟のレザは生まれつき重い心臓病で、一刻も早く手術を受けなければ生きられないことから、赤十字を通じてオランダでの手術と一家全員の移住が決まりました。 難民キャンプでの暮らしと、その後の生活が急激に変化する中での戸惑いや不安を、10歳の少女の目線で描いてあります。 オランダは色々な面に寛容な国で、トルコ人、モロッコ人や旧植民国などから多くの移民も受け入れており、現在、その総数は全人口の約20%にのぼっています。 著者は1940年オランダ生まれ、1960年代にイラン人留学生と結婚しテヘランで暮らしていましたが、宗教革命がはじまり、二人の子どもを連れて帰国しました。イラクの難民キャンプからオランダへやってきたクルド人一家と長く付き合いがあり、この本はフィクションとして書きましたが、現実の話にもとづいているそうです。 なかなか声になりにくい移民する側の気持ちや戸惑いが、よくわかります。 子どもはいざオランダへ着いてしまうと意外に落ち着いてしまうのに、ぴかぴか光る台所や冷蔵庫を与えられてすぐに家族のご飯を作らなければならない母親のこれからを思うと、心が痛みます。 (NIMIC会員 根本 百合) |
前号の本の紹介文に移る | 書籍の一覧に戻る | 次号の本の紹介文に移る |
|
HOME |  ABOUTUS |  ACTIVITIES | VOLUNTEER |  CONTACT |LINKS NPO法人 西東京市多文化共生センター Copyright (C) 2011 NIMIC All Rights Reserved. |