西東京市多文化共生センター

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  NIMIC通信 No.157(2019年11月号 )
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┏ [8] キーワードを読む
  「多文化共生」について理解を深めるために(151)
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NIMIC設立の理念のなかで大きなウェートを占める「多文化共生」。この言葉 をキーワードに、2006年9月号から多文化共生に関わる本の紹介を始めました。 第151回目の今回は、台湾についての本です。

ビジュアル年表 台湾 統治五十年    乃南アサ 講談社  2016年6月 2800円

   図書館でこの本を見かけた時、「著者は確か小説家の方だけどな。」と思い つつ、ムック本(*)の体裁もあって期待しないで手にとりました。ところが中を 読んでみると、私が知りたかったことがみんな書いてあり、うれしくなりました。 台湾は1895年から1945年まで50年に渡り日本の領土として統治され日本語 による教育がなされましたが、にもかかわらず、70年を経た現在に至るまで親 日的であり、実際に私が日本語教室でお会いする方々もとてもにこにこと温か く接してくれます。50年間の現地の実際の生活、日本人と台湾の人々が入り 混じった社会はどんなであったのか、知りたいと思っていました。 本の最後に、国立台湾歴史博物館前館長の呂理政氏が寄せられた文章が 載っています。それによると、台湾歴史博物館の歴史常設展示には日本統治 時代エリアがあり、様々な史料が保存されているようで、それらを全面的に提供 してくださったとのことです。それに日本側の資料も加え、50年間を年代順に 史実を追って記載しています。第4代台湾総督の児玉源太郎と民政局長と なった後藤新平の活躍など、実に面白く読みました。と言っても余計な脚色が あるわけではありません。当時の人々の暮らしや道具類の写真が豊富に使わ れていて、生活の様子が身近に感じられること、社会の変化、例えば女子の 纏足の減少を数値で表すことで、出来事がとても理解しやすく描かれているの です。 もともとマラリヤ、コレラや赤痢が猛威を振るう土地に、中国本土から渡った 漢人と原住民族との軋轢がある中に、さらに日本人が加わって抗日事件が起こ り、日本の官憲が報復する。これらのできごとを丁寧に描いています。そして 最後の数ページには、敗戦後日本が去った後の台湾のことが描かれています。 *ムック本 … Book と Magazine の中間のような形態の本
                       (NIMIC会員 根本百合)

 
 
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